平成24年度-労働基準法 第5問

■第5問 裁判所は、労働基準法第20条(解雇予告手当)、第26条(休業手当)若しくは第37条(割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第7項の規定による賃金(年次有給休暇中の賃金)を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができることとされているが、この付加金の支払に関する規定は、同法第24条第1項に規定する賃金の全額払の義務に違反して賃金を支払わなかった使用者に対しては適用されない。

 

 

 

■答え:○

■解説:法114条
労働基準法114条が付加金を請求し得る場合として定めているのは、次の4つの場合である。
(1)使用者が解雇予告手当支払わないとき(法20条)
(2)休業手当を支払わないとき(法26条)
(3)割増賃金を支払わないとき(法37条)
(4)年次有給休暇の賃金を支払わないとき(法39条7項)


平成24年度-労働基準法 第4問

■第4問 ある会社で、労働協約により通勤費として6か月ごとに定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している場合、この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金とは認められず、平均賃金算定の基礎に加える必要はない。

 

 

 

■答え:×

■解説:法11条、法12条、昭和25年1月18日基収130号、昭和33年2月13日基発90号
労働協約により通勤費として6か月ごとに定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している場合、この定期乗車券は、労働基準法第11条の賃金であり、従って、これを賃金台帳に記入し又6か月定期乗車券であっても、これは各月分の賃金の前払として認められるから平均賃金算定の基礎に加えなければならない。


平成24年度-労働基準法 第3問

■第3問 最高裁判所の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法26条、ノースウエスト航空事件(昭和62年7月17日)
「休業手当の制度は、労働者の生活保障という観点から設けられたものであるが、賃金の全額のおいてその保障をするものでなく、しかも、その支払義務の有無を使用者の帰責事由の存否にかからしめていることからみて、労働契約の一方当事者たる使用者の立場をも考慮すべきものとしていることは明らかである。そうすると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」の解釈適用に当たっては、いかなる事由による休業の場合に労働者の生活保障のために使用者に前記の限度(平均賃金の6割以上)での負担を要求するのが社会的に正当とされるかという考量を必要とするといわなければならない。このようにみると右の「使用者の責に帰すべき事由」とは、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である」旨判示している。


平成24年度-労働基準法 第2問

■第2問 死亡した労働者の退職金の支払は、権利者に対して支払うこととなるが、この権利者について、就業規則において、民法の遺産相続の順位によらず、労働基準法施行規則第42条、第43条の順位による旨定めた場合に、その定めた順位によって支払った場合は、その支払は有効であると解されている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法23条、昭和25年7月7月基収1786号
労働者が死亡したときの退職金の支払いについて別段の定めがない場合には民法の一般原則による遺産相続人に支払う趣旨と解されるが、労働協約、就業規則等において民法の遺産相続の順位によらず、施行規則第42条、第43条の順位による旨を定めても違法ではない。従ってこの順位によって支払った場合はその支払は有効であるとされている。


平成24年度-労働基準法 第1問

■第1問 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法24条、昭和63年3月14日基発150号
1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、常に労働者の不利となるものでなく、事務簡便を目的としたものと認められるため法24条違反とはされない。