平成26年度-労災保険法 第5問

■第5問 明日午前8時から午後1時までの間に、下請業者の実施する隣町での作業を指導監督するよう出張命令を受け、翌日、午前7時すぎ、自転車で自宅を出発し、列車に乗車すべく進行中、踏切で列車に衝突し死亡したが、同人が乗車しようとしていた列車が通常の通勤の場合にも利用していたものである場合は、通勤災害とされている。

 

 

 

■答え:×

■解説:法7条、昭和34年7月15日基収2980号
出張は、特別の事情がない限り、その全行程において業務遂行性が認められるので業務災害となる。
設問の事例のように、「列車が通常の通勤の場合にも利用していたもの」であっても、業務災害とされている。


平成26年度-労災保険法 第4問

■第4問 上司の命により従業員の無届欠勤者の事情を調査するため、通常より約30分早く「自宅公用外出」として自宅を出発、自転車で欠勤者宅に向かう途中電車にはねられ死亡した災害は業務上とされている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法7条、昭和24年12月15日基収3001号
一般的に通勤途上は、事業主の支配下にはなく、業務遂行性は認められない。しかし、設問の事例では、事業主の支配下にあり、業務遂行性が認められるため通勤災害ではなく「業務上」災害とされている。


平成26年度-労災保険法 第3問

■第3問 事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められている。したがって、その行為中の災害については、労働者の積極的な私的行為又は恣意行為によるものと認められず、加えて通常発生しうるような災害である場合は、業務上とされている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法7条、昭和50年12月25日基収1724号
事業場施設内における業務に就くための出勤または業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められる。
準備後始末行為は、業務と接続する行為と認められること、災害が労働者の積極的な私的行為または恣意行為によるものとは認められないこと及び災害が通常発生しうるような災害であるときには、事業主の支配下に伴う危険が現実化した災害であるとされ、業務災害として取り扱うことされている。


平成26年度-労災保険法 第2問

■第2問 自動車運転手Aは、道路工事現場に砂利を運搬するよう命ぜられ、その作業に従事していた。砂利を敷き終わり、Aが立ち話をしていたところ、顔見知りのBが来て、ちょっと運転をやらせてくれと頼んで運転台に乗り、運転を続けたが、Aは黙認していた。Bが運転している際、Aは車のステップ台に乗っていたが、Bの不熟練のために電柱に衝突しそうになったので、とっさにAは飛び降りようとしたが、そのまま道路の外側にはね飛ばされて負傷した。このAの災害はAの職務逸脱によって発生したものであるため、業務外とされている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法7条、昭和26年4月13日基収1497号
問題文の事例のように、顔見知りの他人の興味に応じて運転をさせて生じた事故による砂利トラック運転手の負傷は、恣意的行為、業務逸脱行為といえ、業務に必要又は合理的行為ともいえないため、業務外の負傷といえる。


平成26年度-労災保険法 第1問

■第1問 自動車運転手が、長距離定期貨物便の運送業務の途上、会社が利用を認めている食堂前に至ったので、食事のために停車し食堂へ向かおうとして道路を横断中に、折から進行してきた自動車にはねられて死亡した災害は業務上とされている。

 

 

 

■答え:○

■解説:法7条、昭和32年7月19日基収4390号
就業中の労働者の行為は、一般に業務行為であるが、その間においても、用便や飲水などの行為によって、一時的に業務行為から離れ、作業が中断される場合がある。これらの用便行為等は、業務行為そのものとはいえないが、それが生理的必要によるものである限り、業務行為に付随する行為とみることができる。
このことから、定期便トラックの運転手が運転途上食事のために停車し道路横断中に生じた死亡事故は、業務上とされている。